ジョニ・ミッチェル『Shine』

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07年の復帰作。先日聴いたトッド・ラングレン同様、一度CDは出さないと宣言して返り咲いたパターンはことの外多い。ジョニ・ミッチェルも復活して良かった、良かった。

この作品はキリンジ堀込高樹が『Hana』を紹介していて、なるほど凄い、と思っていたのでずっと引っかかっていた。

 

齢を重ねてこの前衛性は凄い、とのコメントだったが確かにその通りだ。『Big Yellow Taxi』の再演も収録されているが、同様の質感。

ジョニ・ミッチェルを聴くきっかけを与えてくれたのは以前も書いた通り坂本龍一サウンドストリートデヴィッド・シルヴィアンがゲストで来た回に『ドンファンのじゃじゃ馬娘』に収録されている『Talk to Me』を「最近聴いている」として紹介したのを聴いてから。当時は1stの『Brilliant Trees』を出した頃だったので、そのジャジーな雰囲気と共に愛聴していた。高校時代に他にジョニ・ミッチェルとか言っている人もいなくて寂しい思いをしたなあ。

その後、しばらくご無沙汰していたら、たまたま福島時代に『風のインディゴ』を聴いて、あまりのいい音にノックアウトされてから80年代以降の作品も気になってきた。ジョニ・ミッチェルといえば独特のストロークによるギター音とジャコ・パストリアスのフレットレス・ベースという印象が強かったので、後期の諸作は敷居が高かったが、それでもリラックス効果は絶大なので徐々に集めていっている。

ということでこの作品も後期の作風が爆発。いい曲ばっかりだが、先の前衛性と余裕たっぷりの表題曲のようなものが同居しているところが奥行きがあって良い。プリンスも敬愛するというその作風の多彩さはどこに魅力があるのかひとことでは言い表せないが、何らかのリズムを内包する歌、とだけ言っておこうかな。