ジョニ・ミッチェル『Night Ride Home』

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来週プリンスの新作がリリースされますが、そのプリンスもジョニ・ミッチェルを敬愛しているとのこと。不思議な取り合わせのようにも思いますが、やはりジョニ・ミッチェルのコード感というものは幅広いアーティストを虜にする魔力があるということなんだと思います。先日も書きましたが、この作品ではそのコード感が戻って来ている。要はアコギの音が復活している訳ですが、とてもいいバランスで原点回帰している作品だと思います。この時期の作品群では唯一何度も聴きたくなる作品になりそうですね。

ジョニ・ミッチェルは70年代、と勝手に決め付けていましたが、この作品を聴いているとそうとも言えないなあと感じます。本作のリリースは91年。その後に続く『風のインディゴ』は福島時代に何度も聴きました。音が良かったんですね。当時オーディオの設置を手伝った際にお客さんの家で『風のインディゴ』をかけて「あら、いい音」と直感的に言われたことを思い出します。

音もいいんですが、やはり質感。ジョニ・ミッチェルの浮遊するコード感と奥行きのある音づくりは後期の聴きどころだと思います。ゲフィン時代がこの作品で締めくくられて本当に良かった。本人にとっては暗黒の時代かもしれませんが、コメントを見る限り作品には自信を持っているようなので、やはり流通側の問題で闇に葬られているんでしょう。また数ある実験作の中でも少し電子楽器に寄り道した感のある時期の作品としてファンからも敬遠されてしまっている。これはちょっと勿体ない気がします。