ジョニ・ミッチェル『レインストームとCHALKの痕』

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なかなか夜が明けなくなってきました。こちらは先日聴いたばかりの88年作品。音圧の比較をする程まだ聴き込めてはいない内での買い直し。印象は左程変わりません。

あえて書き直すとすれば時間軸的なものになるでしょうが、前作からの流れで聴けば音の質感、ということになりそうです。次作で原点回帰する前の作品として、やはりアコギの音がないのが気になるところ。打ち込みの音はすっかり定着して自らの世界観にガッツリ取り込まれていて、より自然さが増している。ほとんどAORの世界ですが、この落ち着きは尋常ではないし、個性の強さを表現しています。歌に着目していることもあってボーカルが強い。

当時のパートナーのラリー・クラインはピーター・ガブリエルの『So』にも参加していたんですね。確かそこでのドラマーもマヌ・カチェじゃなかったかな。リズムはタイトですが余り遊びもなく、シンプルにリズムを刻んでいる印象があります。

最早豪華なゲスト陣には耳が行かずにただただジョニ・ミッチェルの世界観のみに耳が奪われる音像となっていて、誰が来てもOKな芯の通った音づくり。ここからまたギターに戻って行く展開になるのは何となく必然のようにも感じますね。デジタルのグルーヴはやはりジョニ・ミッチェルには向かなかったんじゃないでしょうか。自ら持つスキルを封印するのは端的に勿体ない。そんなことに気付いたのかもしれません。