ムーンライダーズ ライブ『Ciao! The MOONRIDERS』

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マイミクさんの粋な計らいで急遽行けることになったムーンライダーズのラスト?ライブ。観れると思っていなかったので非常に有意義だったと同時に、直前までチケットを手にすることが出来ないスリルも味わった(笑)。

基本的にアンコールを含めて4部構成。セットリストはほとんど大阪と変わらないようだが、唯一『モダン・ラヴァーズ』が『ボクハナク』に変わっていた模様。

1. 鬼火
2. who's gonna be reborn first?
3. Who's gonna die first?
4. DON'T TRUST ANYONE OVER 30
5. Frou Frou
6. 涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない
7. Morons Land

8. Mt.,Kx
9. 弱気な不良 Part-2
10. オカシな救済
11. ハロー マーニャ小母さん
12. ラスト・ファンファーレ
13. Masque-Rider

14. ボクハナク
15. Cool Dynamo, Right on
16. ダイナマイトとクールガイ
17. トンピクレンッ子
18. ヤッホーヤッホーナンマイダ
19. スカーレットの誓い

【アンコール】
20. マスカットココナツバナナメロン
21. 花咲く乙女よ穴を掘れ
22. Kのトランク
23. BEATITUDE
24. 蒸気でできたプレイグランド劇場で

しかしそれにしてもサービス過剰な人達だ。ユーモアたっぷりのアナウンスに続いてオープニングは大阪同様客席やロビーの各所でゲリラライブを敢行するというもの。席が2階席だったので正確には確認できなかったが、マイミクさんの話によれば『工場と微笑』や『インテリア』をやっていたとのこと。これは鈴木博文かな。席から唯一見えたのはステージ下の階段に腰を下ろしたかしぶち哲郎の弾き語り。客席各所で拍手の種類が異なるので一種異様な空間となっていた。

ステージはいたってシンプル。『鬼火』の時は鈴木慶一武川雅寛岡田徹の3人で演奏してシルエットがカーテン越しに照らされる形になっていて「もしや伝説のメンバー隠しパターンか?」とも思わせたがそんなことはなく普通に開幕。『涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない』にグッと来たが、『Morons Land』でのプログレ風な演奏が印象に残った。『Ciao』での『折れた矢』でもプログレ風の演奏が聴かれたが、この重厚趣味は最近の流行りか?

新作からの曲ではかしぶち哲郎の『ラスト・ファンファーレ』が圧巻で、イントロのメンバーの敬礼風の演出も含めてあらためていい曲を書く人だと痛感。『スカーレットの誓い』にも似た最近の叙情的作風は密かなピークを思わせる。一番この辺のモニュメンタルなアイコンが提示できる人なんですね、かしぶちさんは。坂本龍一が『ヴェネツィア』で採用したような雰囲気。

鈴木博文は兄に促されて何かとステージ前面に出たり客席に降りていったりとサービス三昧。本当に流しのシンガーのようだ。手拍子を促すのに失敗して照れるのも可愛い。『トンピクレンッ子』や『ヤッホーヤッホーナンマイダ』で盛り上げていたが、この辺で狂喜するファンというのが閉じている感じがする。変な曲だもんな。『ヤッホー~』では最後に鈴木慶一が「まっぴらまっぴら」と煽っていたが、これはクレイジーケンバンドの『まっぴらロック』へのオマージュだろうか。確かにあの曲にも「ナンマイダ~」というくだりが登場する。もしそうなら意図を伺ってみたいものだ。

アンコールでステージに40人程の女性を上げるが、ふと気付くと隣のマイミクさんがいない!「もしや・・」と思ったら案の定『花咲く乙女~』のスコップダンスでステージ上に上がっていらした。いやあバイタリティあるなあ。尊敬します。それにしても大量のファンを左右に踊らせてTシャツ姿で歌うライダーズの面々は永遠のアマチュアリズム、文化祭乗りの終わらない狂騒、ある意味『ビューティフル・ドリーマー』的な青春ループを感じさせる。この辺の無害感。本来今時ファンがステージに上がるなんざセキュリティ上許されないことだが、そこで危害を及ぼす可能性がほぼ皆無な安心感が漂う超文科系ノリの図書館職員的安定感がライダーズの色を決定づけている。「ニューウェーブのファンに美人はいない」と以前近田春夫かなんかが言っていたが、そんな感じなんだよな。オタクとまた違う文学性が滲み出た、それこそ20周年風で言う「性欲あるんですか?」的な雰囲気。こいつがライダーズファンの本質を映し出している。だから閉鎖的に見えるんだろう。

最後の鈴木慶一の「進化して戻ってきます」という発言を信じて待つことにしよう。確かにマイミクさん曰く「生前葬」かもしれない。ザッパも死ぬ前にアーカイヴものを連発していたし。でもビーチ・ボーイズはメンバーが亡くなっても復活するし、YMOだってここへ来て元気だ。きっと何らかの形で復活があるだろうと思う。はちみつぱいだって復活したんだから。

ということで年末にとても嬉しいプレゼントをもらった。