キャプテン・ビーフハート『Unconditionally Guaranteed』

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過渡期ものが続く。74年リリースの隊長の作品。マーキュリー時代の2作品はパッとしないので手に取らずにいた。この作品でズート・ホーン・ロロとロケット・モートンがバンドを去ってしまい、オリジナルのマジック・バンドは終焉を迎える。そんな悲しいアルバムだ。

70年代初期と後期でこんなに音像が変わるアーティストも珍しいし、何より風貌が激変している。ビートクラブで咆哮していた隊長のギラギラした姿はここにはなく、枯れた老人風味の謎のおじさんが佇んでいる。この後ザッパと再会を果たし、再度物別れとなって後期の名作群に到達する訳だが、そこにあるミッシング・リンクを繋ぐのが未発表作の『バット・チェイン・プラー』だ。来月目出たく日の目を見るとのことだが、原因はザッパとワーナーの確執にあったようだ。

前作の『Clear Spot』はテッド・テンプルマンのプロデュースで音も分かりやすく、それでいて強烈なインパクトも維持していて結構好きなアルバムだが、本作でもその分かりやすさが持続している。ただ毒は薄れたな。これでオリジナル・メンバーが去っていったのも分かる気がする。狂気が失われてしまった。

とはいえ冒頭1曲目の異常な感じは後の後期名作群を予感させてまあまあだ。何といっても頂点にそびえる『Trout Mask Replica』には敵うべくもないが、ある意味で間をつなぐ、やっぱり過渡期の作品なんだと思う。悪くないけどね。多いな過渡期が、ここんとこ。それにしても全タイトル紙ジャケ再発はいつなんだ!期待しています。