ラスト!こちらも87年リリースのベスト盤。初めて70分を超えるボリュームの大作です。スミスは1曲が短めなので沢山曲が入っていても収録時間が左程でもないんですが、さすがに24曲もあるとこのボリュームになるんですね。
アメリカ向けのベスト盤とのことですが全てを網羅している訳でもなく、逆に未収録曲なんかもちりばめつつ・・という不思議な内容ですが、聴きごたえはあります。それにしても活動期間は短いのにこの丁寧なリリースは何ということでしょう。端的にファンが多いんでしょうね。
スミスがこの機会に見直されているという話は聞いたことがないですが、何故この時期に一挙にリマスターされたんでしょうか?単純にジョニー・マーの作業の問題かな?あまり意味なんてないのかもしれませんが、ただひとつ言えることは決して音が古びていないということです。元々シンプルな構成のバンドではあるし、フォロワーらしきものも見当たらないような孤高の存在ではあったはずなので当たり前かもしれませんが、地味ではあれ独特の存在感を示しているのは活動当時に与えた世間へのインパクトと根強い人気、それに違和感をたたえた微妙なバランスで成り立つ独特の曲群、といった要素が相俟ってスミスのブランドを確立しているからかもしれません。
ここまで一気に聴くと正直お腹一杯ですが、一曲一曲にスピード感があるので飽きずに聴くことができます。モリッシーはデヴィッド・バーンやトム・ヨークのようにフロントマンとして強烈に前に出てくるイメージはないんですが、トーキング・ヘッズやレディオヘッドがやっぱりバンドで真価を発揮するようにスミスもバンドだったからこそ光る存在なんじゃないかなあ。そんな風に思います。とにかく良質な再発盤でした。