パグウォッシュ『The Olympus Sound』

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昨年アイルランドでリリースされていたパグウォッシュの5作目が先月末から各国で流通されるようになりました。今回はXTCのアンディ・パートリッジやデイヴ・グレゴリー、ベン・フォールズなんかも参加しているということで、自他ともに認めるXTCフォロワーのトーマス・ウォルッシュとしては嬉しいリリースなんじゃないでしょうか。で、音も相変わらずのポップ路線です。

まず、アンディとの共作『Here We Go Round Again』がゴキゲンです。いわゆるバブルガム・ポップ路線で一時期リリースが噂されていたアンディのバブルガム系の曲ばかり集めたアルバムに収録されていそうな曲調です。デイヴ・グレゴリーの方は別の曲でストリングス・アレンジを担当していて、この参加の仕方は鈴木さえ子の『スタジオ・ロマンチスト』に近い。やっぱり『スカイラーキング』の『1000アンブレラズ』の影響はでかいんですね。

で、全体を貫くビートルズ、ELO、XTC直系路線は嫌ではないんですが、いかんせんオリジナルのオーラというものがない。これがパグウォッシュの突き抜けられない原因ですね。今回もそこはそうで、好き者しか集まってこない脆弱さを感じてしまいます。フォロワーからどこかのタイミングでスコーンと一段ステージを上げるパワーに乏しい。まあXTCフォロワーが結構なクオリティで存在するという事実に感謝しなければいけないんですが、どうしてもそこは欲張ってしまいます。このままでは中途半端なんで、是非もう一歩進んで欲しいと願うのはXTC欠乏症の副作用でしょうか。頑張れトーマス!とついつい応援したくなりますね。全編佳作揃いというのはどうにも悔しい。ベースが揃っているだけにね。

といいつつ結構今後も聴き込んでしまいそうです。