小坂忠とフォージョーハーフ『もっともっと』

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フォージョーハーフって四畳半のことだったんだ。知らなかったなあ。

バンドのメンバーは駒沢裕城、林立夫後藤次利松任谷正隆という凄い面子で、高橋幸宏小原礼はオーディションに落とされたというんだから驚きます。バンドはすぐに解散して後のキャラメルママに合流していく訳ですが、その出発点の演奏が『ありがとう』の楽曲で聴けるという贅沢な2ndです。

駒沢裕城の奏でるペダルスティールギターの存在感が大きく、実際狭山で共同生活もしていたそうですが、音の質感がそれこそ狭山で復活した05年の細野晴臣のライブや、ボックスセットで聴けるはちみつぱいのライブ演奏に酷似している。72年リリースですよ。これはそういった意味でも原点なんですね。途中で入る小坂忠のMCも細野晴臣に似ていますが、これは端的に二人の声が似てるんですね。恥じらいながら話す感じは鈴木慶一のMCにも似ています。

客席の拍手や会話が生々しく聴こえて、まるで自分も客席にいるかのようです。40年前とは思えない音の良さですが、小坂忠という人は自然体なようでいて先頭を走る人なんだなあ、と今回改めて実感しました。というより細野晴臣と友達だからなのかもしれませんが、タイミングがこちらの方が早い。その上一見地味なので後に与えた影響が見えにくいんですね。活動も紆余曲折があってなかなか体系立てて把握しにくい。音もあったかくて「先端」という感じではないし。でも先頭集団なんです。その後の流れがそれを証明している。

最後は細野晴臣の客演で終わりますが、意外とあっさりと終了してしまいます。ただ全体的に余韻の残るライブ盤で新曲も沢山入っているので、エポックメイキングなメンバー構成も含めて見逃せないアルバムだったんだということを気付かされた一枚でした。