高野寛『確かな光』

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高野寛の存在の消し方というのは独特で、主張をしっかりと持ちながらも裏方となってフロントを支えて決して邪魔にならない。このあり方というのはなかなか貴重で、それがあるからこそ細野晴臣はじめYMOの皆さんもバックに起用するんだと思います。実際、細野さんはそういった趣旨のことを仰っていましたし。

本作は04年のリリース。内省具合とナチュラルな主張加減が絶妙で、とてもいい作品に仕上がっていると思います。ナタリーワイズをはじめバンド活動や他者とのコラボレーションも活発化して、個人ではなく仲間と共に音楽を作り上げていく楽しさに気付いた、というよりそうした流れに身を任せた、ということなのだろうと。

この後、05年には細野晴臣の伝説の狭山コンサートへの客演、07年にはHASYMOが始動し、08年にはpupa、そして09年には次作の『Rainbow Magic』で一皮剥けるという経緯を辿っていきますが、そのイントロダクションは既にここの音にある。そんな気がします。聴く前から予感もしていました。