細野晴臣がプロデュースしたロニー・バロンの78年リリース作品。再発されたのは知っていましたが、今回たまたま見つけたので手に取りました。
ロニー・バロンという人はドクター・ジョンの盟友であり、ニュー・オーリンズのピアノの名手。たまたま夕焼け楽団の『ディキシー・フィーバー』に参加したことから久保田麻琴とのつながりが出来、本作の制作に至ったとのことです。驚いたのは細野晴臣プロデュース楽曲に加えて、ミーターズの演奏によるニュー・オーリンズ録音の楽曲が半数を占めていたこと。これは知りませんでした。
しかしながら、ミーターズ演奏の楽興よりも東京録音のティン・パン・アレー演奏の楽曲の方がより一層ニュー・オーリンズらしい仕上がりになっていて、本家を乗っ取ってしまっているのが微笑ましい。ニュー・オーリンズへの愛情が溢れているんですね。
78年という年は細野晴臣がアルファに移籍して『はらいそ』をリリースした年でもあるし、YMOの1stも同年にリリースされています。ですので、音楽性は既に次の段階に移行していたんですが、本作での質感はむしろ一作前の『泰安洋行』の頃に似ていて、ニュー・オーリンズ直系のグルーヴが鳴っています。一部の楽曲はディスコ系のリズムだったり、ストリングスをバックに歌い上げるものであったりと、若干バラツキはあるんですが、それでも全体的にはいいグルーヴが流れています。
細野晴臣がその後ドクター・ジョンに会った際に、このロニー・バロンのプロデュースを手掛けたことに対してお礼を言われたとの話がありますが、それくらいこのロニー・バロンという人はドクター・ジョンにとって大切な人だったんでしょうね。