キング・クリムゾン『The Great Deceiver』disc 4

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ラスト!連休も今日でおしまいです。

このディスクはインプロが多いですね。聴いているとまるでマイルス・デイヴィスのような瞬間もあります。でも多くは静かなパートで音響的な展開が行われる内容でもあり、このグループの多彩な側面を表しているように思います。ジェイミー・ミューアのいない『太陽と戦慄パート1』もコンパクトでいい出来。ラストの73年のライブはジョン・ウェットンのベースもブリブリと脂が乗っていてカッコいいですね。

音で「おっ」と思わされたのは『イージー・マネー』の前のインプロで、ここに一瞬エレクトリック・マイルスのような閃きを感じました。ロックのイディオムに拘った、あるいはリズム隊がそこへ突進したために必要以上のグルーヴが展開されることはなかったようですが、ヴァイオリンの響きがより尊重されればそれこそ現代のROVOのように覚醒的な演奏も可能だったのではないかと思わせます。ブックレットにあるデヴィッド・クロスのインタビューなんかを見るととても残念な気持ちがします。

とはいえ、この時期のクリムゾンを存分に味わえるこのボックスは大変に貴重で、聴き始めた頃にこうしたタイトルが揃っていたことで古くからのファンの何十倍ものスピードで全体像を追尾できたことには感謝したいと思います。誰に?やっぱりロバート・フリップにでしょうね。