フランク・ザッパ『1970s Broadcast Collection』disc 6

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ラスト6枚目は77年のライブ音源ですが、こちらは『ベイビー・スネイクス』の元音源、その後のリリースでいえば『Halloween 77』で既出の音源です。1977年10月31日ニューヨークでのコンサートですね。従って新発見はありませんが、ラジオ放送用にコンパクトにまとめてあるので、ある意味ダイジェストのような形で楽しむことができます。

 

メンバーはテリー・ボジオやパトリック・オハーン、エイドリアン・ブリューなどといった面々で、エイドリアン・ブリューはこの時期のザッパのバンドでの演奏がブライアン・イーノの目に留まって、その後デヴィッド・ボウイの『ロジャー』への参加やトーキング・ヘッズの『リメイン・イン・ライト』の参加に繋がる。その流れでロバート・フリップキング・クリムゾンに誘って80年代のクリムゾンが出来上がるわけですね。

 

音質は今ひとつだし、先の『Halloween 77』とも聴き比べてみましたが、ミックスが施されていないので比較的プレーンな音になっている。しかし、「Black Napkins」での高揚感は実は手を加えていないこちらの音の方がジワジワと盛り上がる感じがします。なんとなく臨場感が違うんですね。加工した音で失われてしまう何かがこちらのFM放送用音源には残っている気がしました。

 

このボックスはどう考えても非公認の音源のように感じますが、70年代のザッパを俯瞰して見るには適していますし、コンパクトに当時のステージを味わうことができる点では多少メリットもあるような気がします。大分飛び飛びではありますが、バンドメンバーの変遷も味わうことができる。ただ、やっぱり解説がいるだろうなあ。