ラス前は77年と94年の音源です。
77年の方はDVDでも収録されているクリスマス・コンサートを収録したもので、同じ音源はどうかなあ、等と思いつつ聴き進めました。基本的に勢いはあって演奏もいいんですが、いかんせん奥行きがないような気がしますね。頑張ってる分空回りしてしまう。決して悪くはないんですが、往年のヒット・グループのような慣れと余裕が逆に刺激を薄めにしてしまいます。勿論実際に目にしたら大喜びすると思うんですが、落ち着いて聴いてみるとそこまでのものではない。定番化した故の後退とでもいいましょうか。
アリスタのアルバムはすべて聴けている訳ではありませんが、従来の英国きっての奇才といったイメージからはおよそかけ離れたドメジャー路線が続くもので、なかなか食いつくには抵抗があるのが実状です。
とはいえ映像でも感じましたが『セルロイド・ヒーローズ』はいい曲ですね。比較的静かに演奏されるのも好みです。RCA時代にはなりますが、丁寧に歌い込んでくれていてレイ・デイヴィスにとって大切な曲であることが歌から伝わってきます。
その後は90年代まで一気に飛んでしまいますが、映像の方でも音の方でも80年代がすっぽりと抜け落ちています。これは70年代後期からアメリカを意識した活動が活発になって本国イギリスでの人気が低下したのが原因なのかもしれませんが、それにしてもまったくないというのも寂しいですね。あくまでこのボックスはBBCからの音源をピップアップしたものですので致し方ないのかもしれません。