ラスト。連日拷問のような70分超えが続きましたが最後は50分程度。94年と60年代の音源です。
94年の音源は過去の楽曲をタイトに演奏する意外にいい音源で、懐メロバンドとして一級品の佇まいです。悪い意味ではなくてこれが非常にいい。『Waterloo Sunset』なんか極上もんだし、往年の代表曲群も勢いがあってとてもいいですね。演奏力が確かで、一糸乱れぬ伝統芸を披露されているようで爽やかです。
一方、60年代の音源は音質が極端に悪いのが難点。演奏の勢いを削いでしまいますね。これはどういう意図で収録したんでしょうか。端的に未発表曲という意味合いかな。
それにしてもお腹一杯のボックスでした。楽しむには1ヶ月かかる、と書いていた方がいましたが、それを1週間で味わうのは気力と体力が要ります。ストーンズは別格として、長くキャリアを積み重ねているからこその音源の多さがこうした作品に結実するというのはとても目出たいことで、幸せなグループだなと思います。紆余曲折あったでしょうが、こうした編纂ですべてが救われる。記録をきちっと残すことは大事ですね。掘り出して編集した方にも敬意を表しますし、何よりこうした作品がリリースできるだけのステイタスを維持し続けることが出来ているキンクスというバンドに感謝すべきでしょう。ごちそうさまでした。