2枚目のディスクには1枚目に入りきらなかった4曲と、ボーナストラックとして17曲ものライブ音源が入っています。これは約1年前の1980年2月のサンフランシスコのライブ音源ですので、もう別のライブとの2枚組というに等しい構成。『Black Sea』のリリースが1980年の9月ですので、ここは『Black Sea』の発売前と発売後でどう違うか、という比較をしながら楽しむのが良いかと思います。
で、どうかというと余り変わらない。既に3rdの『Drums And Wires』でかなりギターバンドとしてのアイデンティティを確立してしまっているので、特にライブではその疾走感は変わらずに音が鳴っています。
やっぱり特徴的なのはテリー・チェンバースのドラムで、とにかく上手い。迫力があって正確だし、完全にバンドの音を引っ張っている。ポリスにとってスチュアート・コープランドのドラムが大事なように、XTCにとってもテリー・チェンバースの存在は、ことライブにおいては非常に大事だったし、それがこの時期のXTCの勢いを決定づけていたと思います。この疾走感がなくなると箱庭になる。ポリスていえばスティングっぽくなってしまう。
ということで、初期の勢いのあるXTCの演奏を久々に味わえる作品でした。ライブのフル収録音源はやっぱり雰囲気が伝わっていいもんですね。