ザッパが第2期マザーズを始動させて最初に行ったのは欧州ツアーだったとのことですが、その際にオランダのTVに出演したという話が「70s クロニクル」で当時のメンバーによって語られていました。2枚目のディスクでは前半がそのTV出演時の演奏が収録されています。
バンドを組んだばかりということで、まだ演奏曲は第1期マザーズのものが中心で、中でも3rdアルバムの『We're Only In It For The Money』の楽曲が多い。要するにボーカルパートが多い曲が演奏されているということかと思います。
70年代のザッパは比較的ハード・ロック色を強めていくんですが、そのスタート地点に『チャンガの復讐』があります。ここでは第1期の後半、『アンクル・ミート』などに顕著な現代音楽的なアプローチから、徐々にハード・ロック的に変わっていく様が見て取れて、その原因の一つに強力なボーカルを手に入れたことがある。
しかしこのオランダの音源にはまだその傾向は見られません。新曲をまだ書けていなかったんだな。第1期からのメンバー、イアン・アンダーウッドにある程度指揮官を委ねる局面も見られます。
オランダの音源が6月、後半のライブは9月の音源ですが、もうここでは第2期マザーズの演劇性が前面化しています。その間たったの3ヶ月。ザッパは本当に物凄い人です。