スコラ 坂本龍一 音楽の学校 アフリカの音楽編第3回

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3回目のテーマは「言葉と歌」。その中で圧倒的に面白かったのは「言葉と音の境界」という話でした。

説話の中で物語を語り出すと突然それが歌に変わる。しかも聴いている子供たちも一緒にコーラスに加わるというスリリングな展開。この境界線は全く判別不能で、あまりにも自然です。ボブ・ディランキャプテン・ビーフハートのように語りがそのまま歌になったような楽曲は現代でも存在しますが、こうしてスルッと歌に変化するようなものはあまり例がない。というよりリップスライムのようなラップの楽曲には例があるかな。ライムにメロディが挟まるようなアプローチが新鮮で気持ちのいいものでしたが、このアフリカの例はあまりに突然だし、それが完全に定型化しているので聴く方も一緒に歌えるんでしょう。これは単純にカッコいいです。

加えてトーキングドラムの話にもハッとさせられました。元々トーキングドラムとは言葉のリズムや高低を模倣したものだったんですね。名称から考えれば当たり前のことですが、既に自分の中ではひとつの楽器の種類として存在していたので、その起源まで遡って認識することはありませんでした。そしてその背景には文字の文化が存在しないことが大きいという話。これは何ということだ。あの独特の音は端的に言葉のコピーだったのか。音楽は音楽だけのために存在するんじゃない。生活に根ざしているんですね。単純な話のようですが、大きな驚きをもって見入りました。