かしぶち哲郎さんが亡くなったので追悼の意も込めてレビューします。もしかしたらかしぶち作品の中で一番好きかもしれない。
『キ・サ・ラ恋人』が当時CMタイアップ曲となったので耳にする機会は多少はあったと思いますが、その後忘れ去られて幾千年。ただ、時期的には84年頃の制作ですのでムーンライダーズでいえば『アマチュア・アカデミー』や『アニマル・インデックス』の頃の絶頂期。音の質感もリミッターが効いていい雰囲気です。聴いた当初はフレンチ・ポップス風味かと思いましたが、それは佇まいが映画的だからで、今の耳で聴くと左程の欧州味は感じられません。
単純に楽曲のクオリティが高いのが好きな理由ですが、当時の雰囲気をパッケージしているという意味でも貴重。かしぶち哲郎の希有なロマンティズムを表出化した最も最良のプロデュース作品に入る屈指の名盤であることを一分も疑いません。合掌。