『大貫妙子トリビュート・アルバム』disc 2

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2枚目。女性中心です。こちらは以前にカバーされた楽曲を集めたもので、古くは70年代からのものから2012年までのものが年代順に並んでいます。でも驚く程質感が変わらない。それはひとえに楽曲の汎用性によるところが大きいですね。

比較的初期の楽曲にカバーが集中しているのも興味深いところで、『突然の贈りもの』や『色彩都市』といった定番曲が重複して収録されています。これは坂本龍一も再三言っている通り、1stと2ndのような作品を望んでいる人が多いことの現れなのかもしれません。実際はそれ以降にピークがあって、初期といっても82年の『クリシェ』くらいまではいってしまうんですが、いずれにせよ80年代初頭までがある意味大貫妙子の印象を決定づけているといえそうです。

アレンジャーには坂本龍一井上鑑といった名前が並びますが、バリエーションは思った以上になくて質感が一定しています。それが逆に楽曲の強さも表していて、収録された竹内まりや、ラジ、矢野顕子原田知世といった様々な女性アーティストが皆で祝福しているかのような錯覚を覚えます。勿論祝福はしているでしょうが、今回意志を持って集まったというよりこれまでの発表済みの曲を集めただけなので、その割に統一感が出ているというのが不思議なところ。それはやはり大貫妙子という人への敬愛の念が質感の統一性を醸し出すんじゃないかと思う訳です。

女性におけるシティポップスの草分けが荒井由美吉田美奈子といったアーティストだとしたら確実にその一角に大貫妙子もいて、かつそれがみんなキャラメル・ママ系統、あるいはナイアガラ関連者のような特定の音楽集団から派生してきたという事実は市民権を得るまでに10年近くを要して、かつ今では基盤となっている。40周年と聞くと驚くべき年数ですが、左程の隔世の感もなく普通に今に耳に響いてくるというのは驚くべきことです。実際に活動していた頃は恐らく大変だったと思いますが、今ではそれが笑い話として語られる。(シュガーベイブの『SONGS』には印税が一切なかった、という話等・・。)やっと、というか随分前から報われている、祝われている方なんじゃないかなと感じます。