スコラ 坂本龍一 音楽の学校 電子音楽編第1回

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昨日から第4シーズンが始まりました。およそ1年ぶり。今回は電子音楽から始まります。初っ端はテルミンでしたが、オンド・マルトノの方が演奏のインパクトは大きかったですね。

テルミンビーチ・ボーイズコーネリアスですっかりお馴染みですが、改めて演奏風景を見ると弦楽器のような感じでした。番組でも触れられていますが、見えない弦を振動させるような趣で音を奏でていく。その有り様はとてもフィジカルに映ります。これがオンド・マルトノになるとインターフェースとして鍵盤が出て来る訳ですが、その鍵盤自体がフローティング構造になっていて、鍵盤が揺れる。それをビブラートのように扱って音を揺らすんですね。そのビジュアルも刺激的でした。

元々音は空気の振動。それを音の高さと大きさという原理的な要素を数値化する試みが電子楽器である、と定義するとテクノロジー・ロマンを喚起する。これが数値を入力することで音楽になる源流となっていく訳ですね。こいつは当然プログラミングと同義。

ラストに発言されていた「基本は技術主導」という話は汎用的かつ目が覚める思いがしました。90年代は結構技術側からの提案によって、いわゆるシーズ志向による商品開発が盛んだった印象があるんですが、昨今は「まず仕様を出せ」といった形で技術者発信の商品開発の強度が鈍ってきた感があります。これはひとえに責任転嫁の賜物で、不具合が発生した際に技術側がターゲットになることを回避する所作か、あるいは工数という目に見えないものを盾にすることで仕事を減らす口実にするというパッションの薄れた業務傾向が表面化している現象だと思います。でもそこにはロマンがない。

表現者側からのニーズによって生まれたという話は甚だ疑わしい、といった分析はとても素敵で、この技術革新による驚きの連続が80年代初頭に自分達が味わった興奮だった。まずは技術。そんな当たり前のことに気付かされた初回の放送でした。今後も楽しみです。