2枚目は『ヌーヴェル・ヴァーグ』から『青空百景』まで。ムーンライダーズは活動後期にライブを精力的にこなしていたので、この頃の曲も比較的元気に演奏していました。従って、ここで聴ける曲も意外と耳にスッと入ってきます。元気に演奏していて微笑ましい。
よくライダーズは第7の人格を持っていて、メンバーも楽曲制作の際にその人格を気にするといった発言をしていましたが、こうした記念イベント等で活動の歴史を辿るという作業ができるのは自らを客観視する視点がなければできないことなんだろうと思います。自分でもそうした機会に恵まれることが極稀にはあって、その客観的視点を持つことそのものが意外と不得手な方を見るにつけ「ちょっと可哀想だな」と思うことがあります。自己中心といえばそれまでですが視野が狭いとも言える。何事も引いてみると見えてくるものがあって、その視点の移動が面白いんですけどね。でも「出来ない」と「やらない」とは違って、ひとつのスキルなのかもしれません。それが鈴木慶一には確実にあった。でないとこうしたアーカイヴシリーズは面白いものにならないはずです。
MCがフルで収録されているので、当時の興味が反映されていて面白く聴くことが出来ます。マニアの受難についての話はこの後楽曲に昇華していく。10年の活動を4つに分けて語るくだりは既に総括の時期に入ったベテランの余裕を感じさせますが、それでもまだ10年。そこから30年近く経っている訳で恐ろしい限りですが、果たして再来年の40周年イベントは行われるんでしょうか。かしぶちさんの逝去を乗り越え、従来通りゲストドラマーを迎えて行うことは物理的には可能でしょうが、果たしてやるかどうかが問題です。
