スコラ 坂本龍一 音楽の学校 日本の伝統音楽編第4回

f:id:tyunne:20181030203412j:plain

能の基本は言葉か・・。

今回は能・狂言における言葉と音楽、というテーマの内容でした。自分はすっかり能の基本はリズムなのかと思っていましたが、どうやら違うようです。基本は謡であって、演奏者も皆それを覚えて舞台に上がる。その言葉をベースにリズムが奏でられていくという構成だったんですね。これは驚いた。

とはいえ、演奏を観ていると、実際にはあるパートではリズムが主導権を握る瞬間もあって、必ずしもすべてが謡中心ではないような場面も見受けられます。最初に言っていたように、基本は帳尻が合えばそれでよい、というある種曖昧なルールの元に成り立っているのかもしれませんね。それも日本っぽいなあ。

狂言のワークショップでスリリングに感じたのは野村萬斎が一瞬笑い声を入れるところです。謡と動き、掛け合いでの構成で完成しかけた音楽にインプロヴィゼーションのように笑い声を挿入する。そのタイミングは絶妙で、狂言の幅広さ、楽しさを垣間見せてくれるような気がしました。

伝統芸能はそれ自体が歴史を持っているので、演者はその膨大な蓄積に身を投じてその流れにドライブをかけられていく。演者の高揚感は音楽の背景に駆動されているような気がします。そこでの興味対象は音楽ではないのではないか。持っていかれる感覚は身体を使って表現しながら実は精神の方で牽引されていく。そんなことを思いました。