マイルス・デイヴィス『Agharta』disc 2

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2枚目は1曲60分一本勝負。比較的スローなリズムが続いていきます。シャッフルのビートの中で鳴り響くギターの音はまるでブルース・ハープのようで、一瞬キャプテン・ビーフハートを連想したりもしました。

それにしても演奏がフュージョンに流れていったりしないのがマイルス流で、決してシリアスさを失うことがない。むしろジャム・セッションのようです。ジャズといってもかなり特異な位置にいたんだろうなあ、と感じます。これと50年代のスウィング・ジャズが同じアーティストによって奏でられていたというのはやはりかなり凄いことだと思いますが、こうしたバリエーションはフランク・ザッパにもあったことだし、息の長い、且つ活動範囲が多岐に渡るアーティストというのはそんなものなのかもしれませんね。

時折入る演奏者側の歓声のような声がプレイヤーの恍惚感を現しているようで興味深いですが、当時これをライブで聴いていた大阪の観客は何を思っていたんでしょうか。そもそもこんな音楽を聴きに来ていたのか。というよりこの時期のエレクトリック・マイルスに対するジャズ・ファンの評価というのはどんなものだったんでしょう。とても静かに聴いているような印象があるので、かなりの戸惑いがあったのかな、と推測しますが、今となってもこの時期のマイルスを振り返ると自分のような畑違いのリスナーからアクセスされる不思議な音楽としてしっかり歴史に名を刻んでいるように思いますね。

さて、これを聴いて『パンゲア』に行くかどうかが迷いどころ。