名盤と断言します。
90年末にリリースされたサンディーの、というより久保田麻琴の作品ですが、ここから『パシフィカ』『ドリーム・キャッチャー』と続く3作はサンディーのキャリアの中でもピークを極めた時期であると言えるでしょう。当時大学の卒業旅行先の長崎で店から流れて来るのを偶然耳にした時の衝撃。その後帰宅して聴いた時の違和感と高揚感は忘れません。当時から日本が世界に誇れるアルバムとして自分の中では燦然と輝き続けていますが、そんなことを言っている人は当時から今でも周囲には存在しないのが悲しいところ。
柔らかいダンスミュージックといえば分かりやすいかもしれませんが、いわゆるワールド・ミュージックといわれるジャンルの最も洗練された表現であり、アジアから世界に発信するメッセージとして立ち位置も含めて絶妙のアレンジと楽曲を世の中に提示していた。久保田麻琴という人のセンスの良さを痛感しました。
当時もてはやされていたディック・リーが参加していたり、細野晴臣が一部プロデュースを手がけていたりと話題には事欠かないのですが、その後シーンを引っ張ったかというと甚だ疑問で、水面下でひっそり流行って終わってしまったムーヴメントだったように思います。とても残念。しかし作品は永遠性を携えており、今聴いても古く感じさせないのが素晴らしいところ。鉄板ですね。