キリンジ『DODECAGON』

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第2期キリンジの始まりを告げる06年リリースの6作目。冒頭の「Golden Harvest」での打ち込みに度肝を抜かれました。キリンジ電子音楽?という従来のイメージを覆すアプローチは冨田恵一の綿密なプロデュースワークから離れて自らがプロデュースする作品として世に提示するには充分なインパクトを持っていた。しかもえらくカッコいい曲です。

ここから冒頭3連発で新しいキリンジをアピールできていますが、一方で従来路線を踏襲したような「Love Is on Line」といった名曲も収められていてバランスも抜群。ここから弟脱退の『Ten』まで一気に駆け抜けていって兄主体のメンバー増強版『11』で更に飛躍をもたらす、という経過を辿っていきますが、この時点ではまだ迷いもなく吹っ切れた勢いを保持した作品となっています。

電子音楽といってもどこか温かみのある音の使い方で本質が楽曲にある姿勢は揺るぎない。変わり身のお手本のようなアルバムです。