KIRINJI『ネオ』

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新体制キリンジの2作目はラップから始まりました。

ライムスターとの共演は他のアーティストでもよく見られるものですが、まさかキリンジがやるとは思いませんでした。とても洗練された格好いい曲ですが、キリンジの曲なのか、というのも正直な感想。新機軸を狙った飽くなき挑戦という意味で評価は出来ますが、全般的には音が暗めに感じたのも事実です。前作で新体制ののろしを挙げてバンドとしての奥深さと楽曲の質の高さを世に提示できたその次の作戦として、若干の勇み足も感じられます。

この辺りの気合いの入れ方は冨田恵一から離れた『DODECAGON』に少し近い。電子音が踊っているのも共通しています。よりバンド然とした方がメンバーの魅力も引き立つのではないでしょうか。そういった意味で付属のライブ映像はとても楽しくて、器楽のスペシャリスト集団としての魅力と、何より演奏している自分達が楽しそう、といったステージの魅力が存分に発揮されています。可能性はまだまだ無限。今後の展開が楽しみです。

基本的にポップスとしての標準は軽くクリアしているので、むしろインプロヴィゼーションに的を絞った楽曲展開に舵を切ってみた方がいいのではないか。そうすると個人の潜在能力が爆発して強烈な作品が産み出されていくような気がします。奥行きが深いだけに様々な展開が想像できる。非常にいい状態で進化していきそうな期待が膨らむバンド形態だと思います。