KIRINJI『EXTRA 11』

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新生キリンジの2作目はライブ盤ということでずっと手を出さずにいましたが、中古屋で未開封品が安く買えたので今回やっと手にしました。やはり既発曲にはなかなか手が出ないものです。しかし変則的なリリースを行いますね。

実際にはライブで演奏されたバージョン違いの楽曲をポストプロダクションでオーヴァーダブを行うというまるでフランク・ザッパのような手法を使った作品形態で、既発曲も大きくその様相を変えています。こんなマニアックな手法をさらりとバンド史前半で実行してしまうというのはしかし堀込高樹という人はどこまで捻くれているのか。そしてそこに固定ファンがついてくることに自信を持っている。このスタンスは無敵で、果たしてどこまで持続するか。あっという間に安定した活動に驚いています。

曲によってはコードをマイナーからメジャーに変えてしまったり、リズム自体を大胆に変更したりとやりたい放題。『11』は楽曲も良かったのでいじっても変質することはなく、むしろ新生バンドの奥行きの深さを実感させる出来です。メンバーの実力に流れを委ねたとも言えますが、そもそもこの手法を選ぶということ自体が自信の現れで、既に歴史に名を刻んだとも言えそうです。近く発表が噂される新作も楽しみですね。