森は生きているが何故解散してしまったのか、この2作目にしてラストアルバムを聴くことで考えたいと思いながらはや2年が過ぎました。恐らくはボーカルの弱さとインスト演奏の成熟の間にあるギャップにバンドが耐えられなくなったのではないかと推測します。
当時、組曲の「煙夜の夢」が話題になりましたが、発表直後のインタビューを読み返すと、リーダーの岡田拓郎は本作で一体何を作ったのか、自分でもよく分かっていないような発言が印象に残ります。
基本線ははっぴいえんどや『HOSONO HOUSE』の延長線上にあって、それを演奏の構築力で超えていく試みがこのバンドの真髄だったように思います。その結果が解散だったということは何を意味するのか。意味なんてなくて生活があるだけ。ならば勝手に創るしかありません。
その後の活動が表立って見えてこない現状では解釈することが難しい出来事ではありますが、短期間で絶頂を迎えてあっけなく消える所作ははっぴいえんども同じでしたので、存在自体をフェイクにしたとも言えるのではないでしょうか。