スウィング・スロー『swing slow』

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今回の掘り出し物第2弾はこれ。市場で見かけることが本当に少なくて、正式な再発を待つほかないと思っていましたが、サクッと店頭にあったんですね。その時は時間がなかったのでこれは一瞬の出来事でしたが即座に手に取りました。

リリース当時は出たことも知らなくて、随分後になって存在を知りました。恐らく『Hosono Box』で「Good Morning Mr. Echo」を聴くまで知らなかったんじゃないかな。そんな不遜なリスナーですが、改めて聴いてみて非常に興味深いし、音もとてもいい。

今現在の細野晴臣のオールディーズ志向の原点がここにあるような気がします。昨日聴いた坂本龍一の『BTTB』もそうですが、90年代末期に次の世紀の活動に対する示唆がなされている。古き良きものに対する敬愛、それはまたポップスへの回帰でもあり、よくご本人が言われる「アンビエントの海」から陸に上がって来た感覚に近いものが音に漂っている、張り付いている。そんな気がします。

96年というと自分は丁度結婚して転勤して子供が生まれて、という多忙な時期でしたので、本作どころではなかったのではないかと思いますが、ここまできちんと聴けずにいたのは非常に勿体無いことをしました。ただ、昨日と同じで耳が追いついたのは最近のことなので、今で必然なのかもしれません。いずれにしろ、リズムの細やかさや細野晴臣独特の「ノリ」も含めて長く味わえる作品に出会ったように感じます。