細野晴臣『メディスン・コンピレーション』

f:id:tyunne:20181117131215j:plain

この作品を聴いていると「細野晴臣はここからよく俗世間に帰って来れたなあ」と思ってしまいます。それ位「あの世」感のある音楽。冒頭2曲の「Laughter Meditation」「Honey Moon」やドクター・ジョンもカバーした「Aiwoiwaiaou」といった聴きやすい楽曲もありはするものの、基本的にはアンビエント。永遠に続くかのような静かな音楽です。

しかしながら、折に触れて何故か聴きたくなる魅力を持っているのは何故なんでしょうか。根底にはポップなものがあるからだとは思いますが、恐らくはビートが刻まれている楽曲がかろうじて残っているからではないか。細野晴臣の基本を構成しているグルーヴへの興味関心が、こんなに静かな時期の音楽にも息づいている。ここが唯一の救いのように思います。