98年という年は坂本龍一が『BTTB』、細野晴臣がHATをやっていた年で、スケッチ・ショウの始動の4年前というタイミングです。
ミレニアム直前ということで、世紀が変わる前に何事かが起こりつつあった。細野晴臣はアンビエントの海から陸に上がって来たし、坂本龍一はルーツに戻って意図せずCM曲で大ブレイクしていた。では高橋幸宏はどうかというと、きっとまだ迷っていたと思うんですね。
日本語のポップスとしての質の向上に貢献する活動は一段落を迎え、デジタルビートに身を委ねる快感が復活しつつあった。次作の『The Dearest Fool』でそれは結実し、その後スケッチ・ショウ、HASYMO、YMO再始動へと突き進んで行く前兆がここで垣間見える、というのは言い過ぎかな。
とりあえず復活ののろしは上がりつつあった、くらいの感覚で留めておきたいと思います。