54年録音のアート・ブレイキーのライブ演奏。この翌年にジャズ・メッセンジャーズが結成されますので、まだアート・ブレイキー・クインテット名義での録音です。参加メンバーは豪華。
クリフォード・ブラウン(tp)
ルー・ドナルドソン(as)
ホレス・シルヴァー(p)
カーリー・ラッセル(b)
アート・ブレイキー(ds)
クリフォード・ブラウンとの共演をアート・ブレイキーが熱望してやっと叶ったステージでしたが、共演はこの瞬間のみで、クリフォード・ブラウンはマックス・ローチとタッグを組んでいきます。そしてその後自動車事故で亡くなってしまう。そういった意味では世紀の瞬間を捉えた演奏です。
「ハード・バップの礎となった」という評価や「ジャズ・メッセンジャーズの基礎形を築いた」といった意味合いで語られている重要作ですが、基本的にはアート・ブレイキーの牽引するビートに乗って届けられる音は非常に衒いのない音です。裏表がない。
そしてその明るい感じが何となく自分が望む音ではないように思えてきたのも事実です。ジャズを聴き始めてから、ビル・エヴァンスやリー・モーガンといったお気に入りのミュージシャンに出会うことができましたが、アート・ブレイキーは何となく名前で聴いているような気がして、今ひとつのめり込めません。これがどうしてなのか。答えはないかもしれませんが。
ということで、アート・ブレイキーは少し寝かせるかもしれないなあ、と今この瞬間は考えているところです。