『真夏の夜のジャズ』


58年のニューポート・ジャズ・フェスティバルを撮影したドキュメンタリー映画がリマスターされてしばらく前に再上映され、ブルーレイ化もされました。しばらく手を出さずにいましたが、以前から大好きな映画でしたので、お盆休みを機に手に取ることにしました。

 

元々はピーター・バラカンの番組で紹介されたのがきっかけでLDを購入したのが最初だと思います。今のように普段からジャズを聴いている環境にはなく、ジャズもマイルスくらいしか知らなかった頃。しかもマイルスもどちらかというとロック寄りの聴き方でした。

 

しかしこの映画は良かった。今観ても最高です。毎回観ながら涙が出そうになるのはアニタ・オデイのステージです。綺麗だし、スキャットもユーモアがあって、その佇まいが最高。カッコよくて美しくて泣きそうになってしまいます。

 

セロニアス・モンクもこの映画で初めて観ました。「ブルー・モンク」を演奏しているので、その後細野晴臣が演奏しているのを聴いても違和感がありませんでした。しかし、モンクはまだあまり聴き込めていないので、これから開拓するつもりです。

 

監督が写真家だから、というのもありますが、カット割がとてもカッコいい映画です。プレーヤーよりも観客を映して雰囲気を感じさせて、絶妙のタイミングでプレーヤーの映像がカットインされる。これは何度観ても痺れますね。

 

今回ちょっと残念だったのは、以前観た映像ではプレーヤーの名前がスクリーン上に紹介されていたのがなくなっていること。それぞれのプレーヤーの名前と顔が全部一致すれば良いですが、そこも含めて紹介するのがこの映画のいいところだったので、それがなくなったのは勿体無い。

 

最近になってジャズはやっとまともに聴き始めているところですが、普段聴いているプレーヤーの名前があまり見当たらないのは何故なのか。比較的白人プレーヤーの比率が高いことや、ボーカリストが多いことが原因かもしれません。ここはもう少し勉強が必要。

 

監督のバート・スターンによると、このフェスティバルに出演していたマイルス・デイヴィスはあえて撮影しなかった、とのこと。これはびっくりするエピソードでした。もし撮影していたらまた違った価値のある映像になっていたと思いますが、そこはあえてそうしていない。これは驚くべき判断だと思います。