フランク・ザッパ『Zappa / Erie』disc 6

ラスト。76年11月のエリー公演の続きとなります。ここでのポイントはやはり冒頭の「Black Napkins」でしょうか。

 

18分もありますが、元々は76年のアルバム『Zoot Allures』に収録されていた強烈なギター・ソロ作品として楽しんでいた楽曲でした。そこでの音源は76年2月のザッパ唯一の来日公演からのもので、大阪で演奏されたものがソースとなっています。

 

しかしここでの「Black Napkins」は長尺で、ビアンカスキャットからエディ・ジョブソンのバイオリン・ソロまで入った内容となっています。きっとこれが本来のこの曲の姿なんでしょう。その後にテリー・ボジオのドラム・ソロとパトリック・オハーンのベース・ソロが続きますので、ここはさながらソロ・パートといえると思います。

 

しかし、ビアンカの参加がわずか1ヶ月足らずだったということを考えると、この構成での公演は非常にレアなものということになります。その前後を考えると、70年代と80年代を橋渡しするような内容となっています。

 

これでこのボックスは終わりですが、非常に面白かったのはたまたま公演場所をテーマに集めた音源がバンドの変遷を描く内容に昇華していたということ。ロケーションを固定すると結果として時間軸が描かれるという典型例が成立した。これは非常にラッキーで興味深いと思います。

 

ザッパのように短期間でライブ内容がコロコロ変わるミュージシャンにはこうした企画は向いているんだと思います。これがずっと同じ楽曲構成で同じメンバーだったら飽きが来るでしょう。そういった意味では非常にザッパ向きの企画だったといえると思います。