続いては76年11月12日のエリー公演からのライブ。前ディスクから2年後のステージとなりますが、メンバーも楽曲もまるっきり入れ替わっています。たった2年でこの変化。ザッパのバンドはこれだから凄い。
メンバーは下記の通り。
フランク・ザッパ(vo,g)
ビアンカ(vo.kbd)
レイ・ホワイト(g,vo)
エディ・ジョブソン(vln,kbd)
パトリック・オハーン(b,vo)
テリー・ボジオ(ds,vo)
女性ボーカルのビアンカが入っているところが貴重ですが、この半月前の76年10月29日の公演を収録した『Philly '76』という作品が以前にリリースされているので、その時の登場感に比べたら驚きは左程でもありません。しかし短期間での在籍の記録を押さえたという意味ではやはり貴重。
ザッパのキャリアの中で女性のメイン・ボーカルが入っていた期間は恐らくここだけじゃないかな。「You Didn't Try To Call Me」なんかでのビアンカのボーカルはまるでソウルの楽曲のようで、かなりザッパの音楽の中でも趣が違って聴こえます。
演奏は『ザッパ・イン・ニューヨーク』や『シーク・ヤブーティ』の頃のような70年代後期のこちらも脂の乗り切った内容。この時期の演奏はやっぱりテリー・ボジオの存在感が大きいかな。
70年代の間でもザッパの音楽は目まぐるしい変化を見せますが、同じエリーの公演でたった2年のインターバルでこうも変化するか、という姿を体験できるという意味ではこのボックスはとても興味深い記録となっていると思います。どちらもザッパのギターは絶好調なんですが、ステージ内容の作り方が違う。本当にザッパという人は凄まじい仕事量だと思います。