ハービー・ハンコック『Sunlight』


78年作品。ハービー・ハンコックのこの作品もずっとチェックしたまま放置していましたが、聴いてみて分かったのは78年という年の特殊性です。

 

何でもかんでも結びつけるのもどうかとは思いますが、78年はYMOの1stが出た年で、1stはまだフュージョンの残り香がありました。実際にこの『Sunlight』というアルバムではヴォコーダーも使われているので若干の類似性を発見するのは容易なことなんですが、それでもやはり時代としてリンクしていたことは間違いない。

 

加えてこのエレピの音はピチカート・ファイヴでも大分耳にしたテイストで、参照先がこの辺りにあったこともほぼ間違いないでしょう。非常にいい雰囲気の演奏が全編にわたって繰り広げられて、最後はトニー・ウィリアムスジャコ・パストリアスの参加曲にとどめを刺す。これは堪らない。

 

『ヘッドハンターズ』よりも洗練されていて、かつ浮遊感を維持しながらグルーヴィーで、後の『フューチャー・ショック』にも直結しているという奇跡的な作品です。これは素晴らしかった。