ELO『アウト・オブ・ザ・ブルー』

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間に3枚置いて77年リリースの2枚組。当時大ヒットしたそうだ。ELO活動期のピークを示した作品。これだけは持っていた。今回リマスターでどれだけ音質が上がっているかと期待したが、元々こうしたくぐもった音だったんだな。あんまりその恩恵は感じない。

ELOの印象はこのアルバムに尽きてしまっていたので、どうしても紛い物ポップの軽さばかりが目立ってしまい、あまりいい印象がなかった。同じ紛い物系といえばトッド・ラングレンのUTOPIAが挙げられる訳だが、あちらの方はやはり曲のクオリティというか複雑さが功を奏して奥が深いものになっているように思う。要はELOは底が浅いのだ。ポップでいい曲も多いんだけど、やっぱりロイ・ウッドと比べると味わいが薄い。ポップになっていく後期になるにつれてそれは顕著になるように思われる。

以前持っていたCDは1枚で70分入りというボリュームで、その長さに辟易としたが、今回は2枚に分けられているので聴くにも丁度良い。ペーパークラフトを含めたおまけも沢山ついていて楽しい。再発品としては非常に丁寧な仕事で好感が持てる。ファンは大喜びしただろうな。

で、改めて聴いて印象が変わるかというとそうでもなかった。やっぱ軽いんだよなあ。部分的にはいいところもあるんだけど、やっぱり物腰が軽過ぎてセンスのなさを感じてしまうところもある。ストリングスの使い方も最早キーボードの置き換えのようで、深みがない。逆に印象に残るのがそうしたフレーズなので、益々軽さが増す。いい曲も多いんだから、アレンジを渋くして録音しておけばもう少し時代を超えたんじゃないだろうか。でもそれはELOのコンセプトに反したんだろうし、この軽さがあってこそのヒットだったんだろうから仕方ない。

ほんとに、たま~に聴きたくなるアルバムだったので、その位置づけは今後も変わらないだろうな。『Sweet Is The Night』がいいですね。ボーナストラックの『北緯88度』もいい曲だ。このくらいが丁度いいんだよなあ。