ゴドレイ&クレーム『Freeze Frame』

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79年リリースのこのアルバムはアナログで持っているが、ゴドレイ&クレームの作品としては一番印象に残っているものだ。ただ、後期10ccの目眩のするような感覚が先鋭的な部分をむき出しにして残っており、特に3曲目の『I Pity Inanimate Objects』なんかは聴いていて頭が変になりそうだったので、少々怖いアルバムとして記憶に残っていた。

ということで06年の再発時には結局『Goodbye Blue Sky』しか買わなかったのだが、このアルバムは何となく気にはしていた。と思ったらめっきり目にする機会がなかったので、やっぱり人気があるのかなあ、と諦めていたところにひょっこり見つかった。

音は音圧が凄くて異常に向上しているように感じる。曲自体は意外とまともなものが多いんだが、アレンジが凝りに凝っていて変な曲が本当に多い。脱退直前の10ccもそんな感じだったし、そこが魅力でもあった訳だが、あんまり前衛を極めると聴いてて疲れちゃうんだよな。そういう意味では1曲目の『An Englishman In New York』はバランスがとれていてポップな曲だ。その後注文が殺到するPV監督としてもクオリティはお墨付き。

 

『I Pity Inanimate Objects』でのボーカル・エフェクトの使い方はperfumeの30年先を行っている訳だが、当時はオートチューンなんてないので、相当時間をかけてやっていたんだろう。ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラが随所に参加しているが、後期ロキシーみたいに時代を超えてしまう音が響いている。音に凝っている割には古くならないのは生楽器の加工が中心だからだろう。79年といえばYMOが登場した年な訳だから、発売当時は70年代の残り香のように聴こえたのかもしれない。でも今はこれくらいで丁度いい。

復活しないかなあ。