The Beatles In Mono『Beatles For Sale』

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このアルバムは初期5枚の中でリマスター購入後一番聴いた作品です。憂いを帯びた雰囲気がとても気に入りました。インパクトという意味でやはり自分はステレオ盤の方が好きですね。変なミックスじゃなかった記憶もありますし、曲がいいので広がりがある音の方がグッと来るものがあります。

初回に聴く時はヘッドフォンで聴くことにしているのですが、これまでの作品を含めて左右の定位が若干右寄りのように聴こえるのは気のせいでしょうか。1曲目の初っ端にその感覚があっていつも気になってしまいます。しばらく聴いてるとあまり感じなくなるんですが・・。

このアルバムからは音の要素が多くなってモノラルだとそれらが渾然一体となって詰め込まれているような印象を持ちます。ディスクの向こう側に凝縮されている音群は醗酵したパン生地のようで膨らんでいって止まらない。でも抑制されている、というような作品感があります。ここを奥行きと表現すればいいのかな。でも相変わらず音は小さめです。これはある意味やはりとても衝撃的な抑制ですね。リマスターに取り組む人達が皆驚いたのも分かります。ここへ来て抑えるのか、と。

ジャケットは見開きになっていてとても美しい。実は思っていた程重厚感がなかったな、というのが全体的な第一印象なんですが、そこは日本製、きっちり作ってあります。それにしてもステレオ盤とモノラル盤双方で聴き比べて楽しめるなんて、何と贅沢な時代になったことでしょう。