グランドファーザーズ『BBB』

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『2つの魚影』。これに尽きます。

グランドファーザーズの91年発表の2nd。ナンシー関のジャケットに彩られたこの活動休止直前のアルバムは、何度も言いますが『2つの魚影』という強烈な名曲を含んでいることで永遠の輝きを保ち続けている作品です。今回のリマスターで音圧は確実に上がって、特にギターの音が生々しく聴こえるようになりました。ただ、変化量は1stの方が大きいかな。

元々、カーネーションの棚谷祐一のアレンジがしっかりしていたこともあり、メンバーもコメントしている通り、ゴールが見えていた状態で作っていったという余裕もあって、そもそもがしっかりした音ではあった。そういう意味では驚きは1st程ではないですが、やはり生々しさは増しました。

発売当時はこれで解散するとは露程も思わず、「ソウル風味が増したなあ」「コタツで演奏しているようなアットホームな曲もある」等と感じていましたが、何より『2つの魚影』に完全にノックアウトされていたので、その後活動を休止するとはまったく想像もしませんでした。1stと2ndの間に青山陽一の1stソロがリリースされていて、それが引き金になったようですが、昨年目出たく復活しているので、その辺りはよしとしましょう。因に大田譲はこの後間髪入れずにカーネーションに合流することになります。

DVDで見せるメンバーの表情は思いがけずお茶目で、最後の青山陽一の「皆さん、どうもすいません!」という一言に全てが集約されているような気がします。今回のリマスターでまた新たな魅力を増した初期の作品群は今後も聴き返すことが多くなりそうです。リマスターで貫禄が加わるなんて珍しいパターンですね。

ボーナストラックではリトル・フィートの『ロケット・イン・マイ・ポケット』風にアレンジした、とかトッド・ラングレンの影響大、といった自分の好きなアーティストの名前がコメントにバンバン出てくるので、嬉しくなる限りでした。