コーネリアス『攻殻機動隊ARISE O.S.T.』

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サントラが続きます。コーネリアスが音楽を担当した映画『攻殻機動隊ARISE』。ちょっと観てみようかなと思っています。理由はMVの音と映像がシンクロする手法が映画にも反映されているかどうかを確認するため、というマニアックなものなので、内容も含めてとてもじゃないけど家族とは共有できない。

アブストラクトな内容、とのことで覚悟はしていましたが、コーネリアス自体がポップなので左程のものでもありませんでした。曲によっては石野卓球みたいな打ち込みもあったりしますが、『デザインあ』のモチーフも使われていたり、パンの手法が従来路線だったりと比較的安心して聴けました。そんな中でも抜群の出来なのが青葉市子との楽曲『外は戦場だよ』です。

ピチカートの音に誘導されて囁くように歌う青葉市子はまさに天使のようで「大きな声を出す人はいなくなった」という詞にドキッとさせられます。この人は細野晴臣坂本龍一とも共演している作品があるので早々にチェックしなくてはいけませんが、既に定番と化しつつあるsaiyu × salyuと比べてもピカイチの出来。静かなところがいいですね。

攻殻機動隊』は周知の通り『マトリックス』の元ネタになったという逆輸入の評判からジワジワと人気を挙げていったジャパニメーションですが、その在り方自体YMOの人気の出方と酷似していて、大滝詠一先生の「日本は明治以来変わらない」という文化輸入の歴史を現代において証明しているかのようです。舶来に弱いイメージは最近では大分払拭されつつあると思いますが、それでも輸入の歴史の片棒を担いだ人達が生きている内は傾向は変わりません。『攻殻機動隊』は広告代理店系の人が騒いだような実感がありますね。ということは逆輸入のスタンスはそういったところからも誘因がある。

でも作品は淡々と緻密に前進している。恐らくは。YMOが楽曲提供した『エクスマキナ』が最悪だったので今回も気をつけなければいけませんが、少しだけ期待して映画の方も行ければ行きたいと考えています。