コーネリアス『CM4』

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恒例のリミックス集も第4弾。『Sensuous』以来6年、『CM3』からでも3年経っている訳ですが、本作は主にこの2~3年の作品集です。ここ最近のコーネリアスの音がどう変化しているか。

対象アーティストは布袋寅泰から始まってオノヨーコ、相対性理論Lali Punaビースティー・ボーイズアート・リンゼイ野宮真貴三波春夫と様々ですが、見事な統一感があります。この手腕は流石で、これだけ個性が強い人達もコーネリアスの手にかかると見事にクールな音色に包まれてしまいます。今回はピアノの音が多いように感じました。

全体的に音が少し多くなって来ているように感じます。これは砂原良徳の新作もそうだったんですが、世紀が変わって一度引き算による削ぎ落としが起こって静かな音楽になってきた感があったものが、少しずつ賑やかになって来ている。かといって90年代の、コーネリアスで言えば『ファンタズマ』の頃のような過剰な音世界には決して戻りませんが、ゼロ年代初頭の静けさからは一歩踏み出して要素が多くなっている。とんがっているといいますか、音が「立って」来ているように感じます。

一度削ぎ落としたことによるこれは反動なのかというと少し違うように思いますね。コーネリアスの音からは時代のムードを読み取ることができるんですが、ここ最近のYMOへの参加によるバンドのグルーヴに対する寄与が多少は関係しているのかな。ギター弾きまくってますしね。かといって熱くなり過ぎる訳ではなく全体としては抑制されているんですが、よりフィジカルに表現する形が時代に合って来ているように思います。

それにしても聴いているとまるで「中目黒ラジオ」を聴いているかのようです。統一感が凄いですね。