砂原良徳『The Sound of 70's』

f:id:tyunne:20181114205937j:plain

前作と同年にリリースされた砂原良徳の3rd。続編的な内容ですがこちらの方がポップで取っつきやすいです。

思い出してきましたが、確かパンナムと交渉してブランドを使用する許可をもらったという話でした、前作のコンセプトが架空の空港でしたので、飛行機に関連するテーマを本作でも継続して掲げている、スクリッティ・ポリッティの「ヒプノタイズ」をサンプリングしていたのが印象的です。

砂原良徳の音が派手だったのはここまでで、次作からはストイックな音に変貌を遂げていきます。時期を一つにしてコーネリアスも引き算の音楽を奏でていき、そしてそれらが合流していくという流れが2016年時点でのお話。そういった意味ではテイ・トウワは一貫して音の質感が変わらないですね。初期はラウンジだからそうでもないかな。

電気グルーヴからの脱退は残念でしたが、その後の演劇的要素の追求、あるいは歌謡テクノとしての自らの再発見の流れを見る限り、砂原良徳の音楽の向かう先とはベクトルを異にしていたと考えざるを得ません。本作は中間地点でありながらも世紀を跨いで何が変わったかを音で感じることができる意味で貴重な記録。端的に音の質感に身を委ねるだけでも気持ちのいい作品ではありますが。