ダニー・ハサウェイ『Never My Love : The Anthology』disc 2

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ラストは未発表曲集です。丁度35年前の本日、ダニー・ハサウェイはこの世を去ってしまった訳ですが、ここ最近は色々と追悼ムードでどうしても寂しくなってしまいます。昨年は自分の親の追悼で大変でしたが、今年はまるで親戚が亡くなったかのような雰囲気です。時代は変わっていく。その変化を生き続ける我々はエールとして受け止めなければならない。故人の生前の振る舞いや発言が後々エコーのように響いてくる。それはひとつの学習だと思います。

未発表曲集なので完全に応用編かと思っていましたが、一部のインストを除いて意外としっくりと耳に入ってくる感じがしました。冒頭の表題曲なんかはいい曲ですし、カントリーテイストの意外な曲もあったりして楽しい。基本的に73年以降の空白期間のレコーディング素材が多いんですが、ラフな雰囲気のセッションもあれば、きちんとしたプロダクションのものもあって飽きさせません。

天才型の人は周囲を振り回すことが多いんですが、この人も例外ではなくて特に自分の才能についての自問自答がクリエイティブな領域で作品制作過程に影響を及ぼした。恐らくもっとスターダムに登り詰めることが出来た方なんじゃないかと思いますが、自らの才能や資質が結果的にそれを拒否してしまった。何事もバランスで、社会的存在というのはそういうものです。それは決してこうした芸能領域においても例外ではない。ひとりで全てはできませんので。

様々な人への追悼の意を込めて、ゆっくりとアンソロジーを味わいたいと思います。さあ、元気にいこう!