ピチカート・ファイヴ『さ・え・らジャポン』

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細野晴臣が70年代に提示した海外から見た日本のイメージをフェイクとして演じた音楽を2001年時点の段階で捉え直した特異な最終作。この時点での日本のイメージをポケモン君が代はっぴいえんどスパークスといった材料を使って現代風に料理し、見事なコンセプトアルバムとして仕上げた作品です。

これが最後になるとは発売当時には思いもしませんでしたが、強烈な批評性と構築感で劇的な幕切れを演出する。しかも解散の理由は「これで最後だとカッコいいかなと思って」というような感覚的なものだったというのが小西康陽の洒落たところです。90年代の終りと共に提示したのが「日本」というコンセプトだったというのも象徴的でした。

ここでは最早野宮真貴すらも数あるパーツのひとつで、バンドどころかユニットとしてもメンバーが機能していない凄まじい突き放しぶりでした。結果的に最終作は別途発売されたDVD-BOXと見なすのが妥当ではないでしょうか。