XTC『LIVE IN BRUSSELLS 1982』


XTCのライブ音源がまたもやリリースされました。どんどん出てくるなあ。こちらはベルギーでの1982年3月7日の音源。以前にリリースされたオランダでの公演が3月8日だったのでその前日ということになります。ちょうど今3月なので42年前ということになりますが、音は古びていないですね。

 

2月に『English Settlement』がリリースされた直後のツアーからのもので、かつ翌月にはアンディ・パートリッジが倒れてしまって、以降XTCは一切ツアーを行わなくなってしまう。その直前のタイミングでの貴重な音源ということになります。

 

オランダでのライブ音源を聴いた際には、前半の『English Settlement』からの楽曲と後半の演奏し慣れた過去作品からの楽曲に温度差があるように感じましたが、ここでは左程でもなく、どちらも演奏が熱い。特にリードトラックの「Senses Working Overtime」での盛り上がりは素晴らしいものがあります。

 

観客の悲鳴も聞こえて来ますが、これは果たして本物の歓声なのか?と思う程凄まじい。人気が絶好調になる直前のタイミングだったので、この後アンディが倒れてしまったのは非常に惜しいですが、しかしこれは過剰なツアーを強いたレコード会社の責任ですね。

 

演奏楽曲はオランダ版の方が多いので、こちらはラジオ局が放送用に編集して1時間弱にまとめたものなんでしょう。コンパクトで聴きやすいですし、音質もそこそこ。それ以上にこの時期のライブはドキュメンタリー性を持っているので、記録として貴重ですし、XTCの光と影に思いを馳せるためにも絶好のアイテムです。

 

当時の様子をXTCのアンディ、コリン、デイヴの3人が語っているインタビューがXTC本の『XTCソングストーリーズ』に掲載されていますが、本当に当時は過酷だったんだろうなあ、という感覚が伝わってきます。1982年の前半はその瞬間を切り取っている訳ですね。