デヴィッド・ボウイ『ダイアモンドの犬』

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デヴィッド・ボウイがポップでよかった。

ここ最近色々と辛いことが多くて、以前に買っておいたデヴィッド・ボウイの70年代まとめ買いボックスを聴くのに勇気が要りました。特にこの作品はジャケットが不気味なので、変に暗い音楽が流れてきたらどうしよう、と恐る恐る聴いたんですが、内容は『ヤング・アメリカン』の前作ということもあって、アメリカン・ポップス寄りのポップなものでした。74年リリースで当時英国、米国でもヒットしたようですからそんなにおどろおどろしいはずもないんですね。

ギターのリフを多用したスタイルはストーンズのようでもあり、耳にスッと入ってきます。ボウイのロマンチズムも充分に表現されていて綺麗なメロディの楽曲も収録されています。『ロックン・ロール・ウィズ・ミー』等は安心して聴けますね。ある意味重くなり過ぎないところがこの人の魅力でもあるので、聴いて良かったと思います。ポップな楽曲は元気も出るね。

元気よく毎日を過ごして乗り切っていくには、あらゆることを相対化しないとやっていけません。出来事に没入してしまうと、その際限のない想いに取り込まれてしまう。時にはそうしたことも必要なんですが、生活していくには支障を来してしまいます。この辺の匙加減が難しいんですが、こなしていく課題が目の前に迫っている時にはそうした感傷は横に置いておくしかないんですね。強さというのは案外スルー力なのかもしれません。軽やかにスカッと行きたいもんです。その軽さをデヴィッド・ボウイから今回は教わったように思います。