ポール・マッカートニー&ウィングス『Red Rose Speedway』

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ここ最近思うのはジョン・レノンよりポール・マッカートニーの方が自分は好きだったということです。よく言われるように、かつては商業主義に走ったポールを揶揄する傾向があって、政治活動に邁進するジョンの方がロックンローラーとして上位に位置付けられるような空気が存在しました。しかし、楽曲としてのキャッチーさにおいてはポールの方が数段上で、実際にホワイトアルバムなんかでもポールの楽曲が醸し出す個人的な迷宮の極地のような「うまさ」にノックアウトされている人は多いんじゃないかと思います。

で、このウィングスの2枚目ですが、既に廃盤で入手が難しい状況にあります。いずれデラックスエディションで再発されるでしょうが、YouTubeでアップされているフル音源を他の作品と聴き比べていると、本作のクオリティの高さに思わず惹かれてしまって、ついつい探しまわってしまいました。

「My Love」が有名なようですが、このメロウでかつ物凄く複雑なメロディに渋さを感じてしまう。他の曲もあわせて聴くと基本的にはとても地味なんですが、奥底にあるメロディへのあくなき探求は復活ののろしを上げるのにふさわしい作品であったことを容易に想像させます。『Ram』以降の好調は恐らく『Venus And Mars』までまっしぐらに進んでいったのではないかと思われます。良い作品でした。