ケン・イシイ『Sleeping Madness』


ケン・イシイの99年リリース3rd。ケン・イシイはデビューが華々しくて、95年の1st『ジェリー・トーンズ』のリードトラック「EXTRA」では大友克洋の制作したMVも話題になりました。そのMVを観るためにWindows95のパソコンを購入したことを思い出します。

 

その後のケン・イシイの音楽は元々持っていた比較的静かな音楽性、アンビエント的な静けさと浮遊感がどことなく漂う音作りが前面化すると若干インパクトが弱くなってしまって、自分の耳には引っ掛からなかったんですが、むしろ今ではそのバランス感覚が時代とマッチしてきているような気がします。

 

この3rdだけではその全貌は分かりませんのでもう少し聴き進めてみようと思いますが、少なくともこの作品はシークレット・トラックを含めて収録時間は70分弱で、しかも8cmのシングルCDとの2枚組構成ということで、結構気合が入っている作品です。時折ビートが激しくなる瞬間もあってなかなかに聴き逃せませんが、タイトル曲の「Sleeping Madness」に見られるような比較的ポップな側面がこの人の真骨頂なのではないかと聴きながら改めて感じています。心地の良いポップさですね。