21年にリリースされた細野晴臣の映画音楽集。こちらは当時アナログと配信限定で出されましたが、まずはその時には配信を聴くきっかけになった作品でした。それが今やアナログレコードもこうして手にしてしまっている。結局メディアの変遷には敵わない、ということですかね。
アナログの音はその後も聴き続けていますが、温かくていいですね。この作品などはまるで昔の作品を聴いているかのようですが、思い出すのはノンスタンダード期に出たCM集『コインシデンタル・ミュージック』で、なんとなく音の質感が似ているような気がします。あれは80年代のレコードなので、30年以上経って同じ地平に立っているという話。
こうしてアナログで作品を楽しんでいると、つくづく音楽の楽しみ方というのは時間とお金に余裕があると増幅するんだな、と思わざるを得ない。必死に聴くこともできるし、流して聴くこともできますが、向き合って聴く、経過する時間を楽しむ、という娯楽であって欲しい。それには経済力が必要、というのはちょっと皮肉な話ですね。